哲学なんて知らないはやくん

哲学なんて知らない学生が、哲学の話をします。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

カント『道徳の形而上学の基礎づけ』読解⑨

『基礎づけ』第三章の議論の構造 (Ⅳ 446-463) まずは、参照されることも多いSchöneckerの解釈を軸にまとめる。 Schönecker, Dieter (1999) Kant: Grundlegung Ⅲ: Die Deduktion des kategorischen Imperativs, Freiburg/München: Verlag Karl Alber. ★『基礎…

カント『道徳の形而上学の基礎づけ』読解⑧

第二章 ⑤ [Ⅳ, 440-445] 道徳の最高原理としての意志の自律 道徳の最高原理の探究は、序言で言われたように本書の課題であったが、それが「意志の自律」であることがここで明らかになる。 ☞このことは、「道徳性の概念のたんなる分析によって十分に証明され…

カント『道徳の形而上学の基礎づけ』読解⑦

第二章 ④ [Ⅳ, 430-440] 〇意志の第三の実践原理:自律へ 目的自体の原理は純粋理性から発現する。 ☞あらゆる理性的存在者にかかわる:普遍性+主観的目的を制限する:客観的目的 *実践的立法の根拠は客観的には法則としての規則の普遍性にあり、主観的に…

カント『道徳の形而上学の基礎づけ』読解⑥

第二章 ③ [Ⅳ, 420-430] 〇定言命法の内容 格率が法則に合致しなければならない、という必然性のみ ⇩ 「格率が普遍的法則となることを、格率を通じて君が同時に意欲することができるような格率にのみ従って行為せよ」(Ⅳ, 421) *この定式化によって、義務の…

カント『道徳の形而上学の基礎づけ』読解⑤

第二章 ② [Ⅳ, 412-420] 〇意志=実践理性 理性的存在者だけが法則の表象に従って行為する能力[=意志]をもつ。 ☞法則から行為を導き出すには理性[=原理の能力]が必要 ⇩ 意志=実践理性 理性が意志を必然的に規定する場合[→人間は含まれない] ・行為は主観…

カント『道徳の形而上学の基礎づけ』読解④

第二章 ①[Ⅳ, 406-412] 二章のタイトル:通俗的道徳哲学から人倫の形而上学への移り行き *今回扱う箇所は一章を振り返って二章の議論へ移行するための準備みたいなもの 〇義務に基づいた行為への正当な疑問 一言で言ってしまえば、本当にそんな行為あるん…