哲学なんて知らないはやくん

哲学なんて知らない学生が、哲学の話をします。

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

哲学、化粧、精神的美

最近の私は、化粧行為には想像以上に哲学的意義があるのではないかと考えています。もちろん真面目に誰々の思想がこうだからこうとか、こういう分野ではこうだからこうだとか、そういう研究的な見通しはないのですが、なんとなく直観しています。調べてみる…

時間を感じるということ

なぜなら時間とは、生きるということ、そのものだからです。そして人のいのちは心を住みかとしているからです。(ミヒャエル・エンデ『モモ』より) 時計の時間、私の時間 私たちはつねに時間の流れを感じて生きています。それはどのようにして感じているで…

語る物と語る者——記憶と向き合い、その声を「聴く」

私は昨年の秋頃、広島の平和記念資料館を訪れ、原爆ドームや慰霊碑はもちろん、資料館にある数多の展示資料をじっくりと観てきました。そこで感じたことを言葉にするかどうか迷 いましたが、少しだけやってみることにします。ところでなぜ迷ったかといいます…

メンデルスゾーン「啓蒙とは何か、という問いについて」試訳

ここに訳出したのは、モーゼス・メンデルスゾーンの「啓蒙とは何か、という問いについて」という短い論文である。できる限りドイツ語の語彙を尊重し、日本語としてもさほど読みにくくならぬよう努力したが、一学生の試訳ゆえ、誤訳や表現上のわかりにくさな…

カントの啓蒙論 : 時代性と現代性

カントの啓蒙論は啓蒙の時代と呼ばれる18世紀のドイツで生まれた思想でありながら、「自分の頭で考える勇気をもたない未成年状態からの脱却」という議論には、今日性を感じます。当時が抱えていた時代性 (特に顕著なのは宗教・信仰に関わる事柄) と現代に生…

公衆衛生の倫理学:コロナウイルスの世界的流行を受けて②

前回の続きです。予告通り、個人の自由・自律と共通善の対立として、公衆衛生の倫理学について簡単に書きたいと思います。 医療倫理と公衆衛生の倫理学 医療倫理の問題として盛んに議論されるトピックは、パターナリズムと個人としての患者の自己決定の問題…

公衆衛生の倫理学:コロナウイルスの世界的流行を受けて➀

コロナウイルスの猛威は収束の気配を見せず、世界を騒がせている昨今ですが、みなさんはどうお過ごしでしょうか。できるだけ人混み、特に風通しの悪い密室空間は避け、基本的に自粛ムード、という方が多いかと思います。それの是非については何も言う気はあ…

多様性への問い

コロナウイルスのせいで三月の予定が狂いまくって困っているはやくんです。 今回は、みんな大好き(?)「多様性」について考察した文章になります。学術的な分析というわけではなく、昨今の多様性偏重の社会のなかで感じたことを、少し哲学の観点を取り入れつ…